生理痛は多くの女性にとって不快なものです。
でも、現代医学の進歩はこの問題を解決しているとは言えません。
その理由は、生理痛がなぜ起こるか詳しく分っていないためです。
婦人科に受診しても、子宮内膜症といった病気がなければ、痛み止めを飲むか、ピルを飲むか、漢方薬で対処するくらいです。
このため生理痛を楽にするサプリが一般に販売されていますが、本当に有用性が検証されているかよく分らないものも多いのです。
私のクリニックでは癌の患者さんの状態を確認し、病状に合った抗がん剤を選ぶために血液検査を行ってきました。たまたま生理痛がひどい女性に血液検査を行ったところ、変わった白血球のパターンが出現していることに気がついたのです。詳細は省略しますが、主にリンパ球と好中球のパターンの変化で、それは生理痛には炎症以外にも様々な原因があることを示していました。予想したとおり、この違いは生理痛のない人に見られませんでした。
ある報告から乳清カルシウムは生理痛を軽くすることが確認されていました。乳清とは牛乳のタンパク質の一種で、ヨーグルトの上澄みに多く含まれています。乳清には有益なたんぱく質をはじめ、カルシウムなど有益なミネラルが多く含まれているので、乳清ミネラルと呼ばれています。
そこで、生理痛のひどい15名の女性に採血させてもらい、1周期の生理痛の状態を記録してもらいました。そして、次の周期の1日目から乳清ミネラル3グラムを服用してもらい、変化を観察したのです。
その結果は図の通りです。1日目のひどい痛みが軽くなっていました。また、白血球のパターンが出現している女性には効果が出やすいことも分りました。乳清カルシウムを服用している間効果は持続していました。
以上から、一番重要と思われるのは生理痛がいわば生活習慣に根ざした状態によって変化する点です。ストレスを感じたり、不十分な睡眠では痛みがひどくなるのももっともなことと言えます。乳清カルシウムのように一見生理痛に作用がなさそうなものを摂取している食生活が思わぬ効用につながっているかも知れません。
血液のパターンから生理痛の程度や治療効果の個人差を予測できる可能性がでてきたので、今後は、どのような生活習慣が重要なのか、どのような乳清カルシウムが適切なのか、どのようなサプリが有用なのかを選択できる可能性が出てきたと言えるでしょう。
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