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当クリニックの患者さん(ニックネーム:子パンダさん)の手記が“ちょっと役立つ!子パンダ.COM”として、『がん治療最前線』に掲載中です。今回の2008年4月号分で、子パンダさんの手記の当ホームページへの掲載は、最終回となります。
抗がん剤
子パンダの命の恩人は大野先生から始まり、今や数人の主治医が挙げられます。その中の一人でも欠けていたのなら、今の子パンダはなかったでしょう。━━もうこれ以上、一人も命の恩人が増えて欲しくない(笑)━━これ以上転移したくないと切実に思っている子パンダです。
その中で、最先端の治療で効果を上げて下さったのは陳先生でしょう。手術不可、放射線治療済、抗がん剤も放射線の副作用で白血球3000以下で不可の状況下で、慎重に白血球数を横目で眺めながら、出来る限り骨髄抑制を起こさない様、厳重注意を持って、私に合った抗がん剤のブレンドを毎回して下さいました。ですから私は抗がん剤の副作用で寝込んでしまった事も無く、「あともう一度(抗がん剤を)やったら、がんが死ぬ前に自分が死んでしまう」等と感じた事もなく、肝機能が急激に低下する事もなく、抗がん剤治療を続けられているのです。
子パンダの腫瘍マーカー(SCC1.5以上でがん)は、巨大原発巣時こそ3.1でしたが、その後の9度の転移時はすべて0.5以下であり、がんの状況を血液検査結果で類推するのは極めて難しい事なのです。陳先生はこれを可能にし、各数値のバランスから毎回がんの状況を類推し、適切な抗がん剤数種類を選び、少量ずつの点滴を2〜3時間程かけて行います。この方法で子パンダは2004年、腹部リンパ節の再燃に対して、11mmの病巣が7mmまで小さくなりました。しかしその後2005年3月、他の5ヶ所にも転移し、最早治療法なしとなりました。
陳先生はこれに対し、今まで通りの方法で、一つ初めての抗がん剤を加え治療を継続されました。3ヵ月後、CTの画像上6ヶ所の転移巣(腹部リンパ節・両側肺門部3ヶ所・縦隔リンパ節2ヶ所)がすべて消え、完治と診断されたのです。この狐につままれた様な結果、子パンダは無論、主治医の先生方も子パンダと一緒に大いに喜んで下さった事は云うまでもありません。
陳先生に「(数種類のうち)どの抗がん剤が効いたんでしょうか?」とお尋ねすると、真顔で少し考えられ、謙虚に「解らない」と一言応えられました。ある主治医は「ずーっと抗がん剤を続けていたが故の効果━━抗がん剤が少しずつ体内に蓄積され、ある時突然一気に効果を発揮する━━そんな事が体内に起きたのではないか」とも推断なさっておられます。
その僅か3ヵ月後には脳転移が判明、脳圧が上がって居て「緊急入院」。放射線治療後、治癒と診断され、全脳照射の副作用で身体が疲労していたため、抗がん剤を中止していました。しかし1年半後、再発し脳手術となってしまいました。子パンダはこの時の経験を生かし、開頭手術後、1ヶ月も経たない内に陳先生の抗がん剤治療を再開しました。既に体幹には全くがんは無く、脳に対してのみの抗がん剤です。脳まで到達する抗がん剤は余りないと云われており、難しい治療ではありますが、今のところ画像上がんは無く、上手くコントロールされています。
直近の抗がん剤の副作用は次の通りです。
点滴後、発熱・頭痛 ロキソニンで対応 6日経ても体温は36.9℃。吐き気は2日後が一番ひどく、薬を飲んでも吐気がするので薬は飲まず、果物だけで対応しました。水を飲んでも苦く感じる味覚異常は点滴中から始まり、4日程苦痛です。最近とみに味覚異常が長期間続く様になりました。膀胱も5日間程、違和感があります。腸も1週間程動き難くなります。拠って、子パンダは点滴終了直後の食事を楽しみにし、沢山戴く様にしております。二日目以降強くなる副作用に備えるためです。
味覚異常に対しては、いつもより濃味のものを召し上がると良いでしょう。子パンダは味覚異常の時程、外食をよく致します。それは気分転換にもなり、濃味の料理が多いので、多少とも栄養が取れるからです。病院食が、抗がん剤対応食としての洋食の様な濃味のメニューにも対応すれば、吐気に苦しむ患者さん達は、少しは楽に抗がん剤治療を続けられる事でしょう!
抗がん剤治療の実際
(陳先生の)抗がん剤治療は、まず血圧体温測定、脈診から始まります。漢方医でもある陳先生の脈診は楽しいものです。「疲れているね」と言われたり、睡眠不足を見抜かれてしまう時もあります。
幾度抗がん剤治療を受けたでしょう、多分数十回以上・・・。
子パンダの血管は点滴針を嫌がり、最早血管は針から逃げる様に重く沈み、どんなに卓越した技能を持つ医師でも、子パンダの腕の血管に一度で点滴針の挿入を成功させるのは、困難極まりなく、陳先生でさえ呼吸を整え、渾身の集中力で行っている様に、見受けられます。
点滴はまず吐気止めと血管を保護するためのステロイドから始まり、次に数種類の抗がん剤が、慎重に看護師のケアの中、点滴されます。抗がん剤の種類によっては、途中何度も血圧が計られたり、重篤な副作用が出ない様チェックがあります。更に如何に快適に点滴を終了できるかに気配りされて、体勢、姿勢、腕の位置、室内の光暗、何かしたい事はあるかなど、細やかにお手伝いして下さいます。子パンダはいつも血管痛を防ぐため、温タオルを腕に乗せ、冷める度にタオル交換をしてもらいました。終了後は手と腕を温タオルで拭ってもらいホッとしたら、針跡にリバガーゼを張ると大分楽になります。リバガーゼは針跡の炎症を軽減させるための、子パンダの必須アイテムです。
子パンダは今は自立して一人で抗がん剤を受けていますが、以前は大抵、長女か次女に足をマッサージして貰いながら、点滴を受けていました。こうしてもらうと、毒性のある抗がん剤が体内に入って来る時の悪寒が、とても和らぐ様でした。足も温もり、血行が良くなって抗がん剤の効果も大であったと思います。抗がん剤では治らないと云われた子パンダの転移がんが、『少量』の抗がん剤で予想以上の効果を得て、完治に至ったのは、家族が点滴中、楽しい気分にさせてくれた事、3時間ものマッサージを気を込めてし続けてくれた事、心の底から子パンダを励ましてくれた事と決して無関係とは思えないのです。 |